ドイツのニュース(8月23日)と比較しての日本のニュース(テレビ) 国内空気の忖度・操作に終始するツッコミのいないボケ垂れ流しの巻

ここ数年の傾向だと思いますが、このところ日本のテレビニュースを見ていて、広報よろしく政府の宣伝を流したりしていてたまげる機会が増えました。テレビは料理をするときにみるくらいなので週の半分くらい、それぞれ1時間くらいしか見ませんが、アホらしいものが多くてびっくりする。NHKは深夜はいいドキュメンタリーなどもやっているがゴールデンタイムのニュースが官報よろしく報道でげんなり。コロナに関しても、感染者数は、ワクチン接種率は、みたいなのを毎日垂れ流すのみ。「煽る」にせよ「安心」させるにせよ、空気作りしかしていない。各国の動向との比較なども重要なはずが、少なくともテレビではじっくりそういう報道を見る機会はなさそう。

Youtubeなどの番組で英語メディアの情報はちょいちょい紹介されているように思いますが、ドイツものはあまりなさそうなので、自分用のメモも兼ねて、ドイチュヴェレのドイツ語学習者向けのトップニュースを紹介していきたいと思います。

 

全部律儀に訳したりするのは退屈になりそうなので、ざっと紹介して、勝手にコメントを挟む形です。今日は、日本のテレビニュースを見て腹が立っているので、それと合わせて紹介です。

 

今日紹介する放送 2021年8月23日(月曜)

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トップ:アフガン警備隊員、カブール空港の戦闘で死亡

アフガニスタン、カブールの空港でアフガニスタンの警備隊が正体不明集団に襲撃され、アメリカ軍およびドイツ軍が銃撃に加わった。警備隊の一人が死亡、ドイツ軍のtwitterで警備隊には怪我人がさらに出ている模様。

 

このニュースでは国際的事件がトップに持ってこられることが多いです。日本はオリンピック期間とか特に異常でオリンピックがトップで国内のコロナが付け足し、国際ニュースなしみたいな構成で、テレビしか見ていなかったら、情報鎖国状態。日本に長くいるドイツ人が言うところでは、日本のテレビニュースは国内テーマに閉じていて異様な感じがするとのこと。

 

あと大きな違いは風刺番組の存在。日本でいうnhk的なzdfでは主に政治家を風刺するコメディショーがずっとやっていて、メルケルなどを茶化しまくっている。youtubeでも上がっている。これは緑の党を茶化している。

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日本だったら、アベノマスクとかはアベマリオとかと絡めてかなりのネタになりそうだが、テレビでは風刺は無理らしい。菅の一連の「安心・安全」「総合的・俯瞰的」「全集中の呼吸」なども編集したら、結構面白くなりそうだが、テレビでやったら粛清されるのだろう。

今日は「酸素ステーション」が稼動しましたみたいな報道を見たが、130床で医師3人、在宅療養者40000の数と比べたら、ほとんどチンカス(失礼!)みたいな規模で笑止千万。小池ですら人の数(医師3人で24時間体制・・・)が問題って言ってて、菅の「やってる感」演出以外の何物でもないんだから、真面目ヅラで垂れ流してないでツッコメよボケ、と思います。

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youtubeだとこういうバカな報道などは「ヒルカラナンデス」が色々ネタにしていて面白いが、長い。各放送局は彼らに金払って毎日10分間ニュースの後に突っ込んでもらってください。

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話がだいぶそれたが、ドイツのニュースでは次もアフガン関係(アフガン人の「退避ミッション」のためのアメリカ軍投入の延長について)、その次もアフガン関係(アフガン撤退をめぐるバイデンの戦略への不支持が広がっている件)。

その次にニュージーランドがロックダウン延長した件。ニュージーランドはいわゆる「ゼロコロナ政策」(コロナウイルス撲滅ではなく、市中・域内からの締め出しを行う)の代表で、島国ということもあってヨーロッパなどとは対照的な国。これまでほぼ「ゼロコロナ」に成功している。日本などは、一緒の政策をとる必然性はないにしても、水際対策など大いに参考にできるはずの国だが、寡聞にしてテレビでは見たことがない。

 

政府が無能、政権運営しか考えていない、ということをテレビが報道していないのは本当に大罪だと思いマス!

 

ドイツのニュースでもスポーツは流れて、そこだけはやはりトーンが和らぐが、あくまでオマケ扱い。日本のテレビニュースでは「さてスポーツです」みたいな感じでアナウンサーが爽やかに乗り出してくるのがマジで気分が悪い。一応政権の問題点なども紹介はしてますよ的なパートが終わって、批判的役割を心から放棄して構わないことからくるであろうあの明るい笑顔! それだったらスポーツパートは全部松岡修造でオーケー牧場。

 

ということで、また書いていきたいと思います。

ちなみに私はvideonewsを推奨しています。

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日本のニュースが空気作りに終始していることは山本七平『空気の研究』の知見をもとに分析できるはず。『空気の研究』的な知見は今回のコロナ敗戦の分析に当たっても重要なはず。しかし、ベストセラーになっているはずなのに、いまだに浸透していない感じなのは何故なのか。

 

Videonews マル激第986回 コロナウイルスの情報洪水に飲み込まれないために ゲスト大野智氏(島根大学医学部附属病院臨床研究センター教授) 2020年2月29日配信開始 視聴メモ

2月29日放送開始

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短評:ゲストの話はわかりやすい。医療リテラシー概説にもなっているので、頭の整理・勉強になる。回全体を通してコロナウィルスをめぐる報道、パニック現象について、なぜこうなるのかの見通しが得られる。検査体制の整わなさと陰謀論の隆盛については、検査インフラがそもそもないという単純な問題が大きいと指摘。とりあえず見ておく価値大の番組でした。

 

 

内容まとめ 前編

ニュース概説 学校休校要請について 

学校の休校権限は教育委員会なので、首相ではない・・・など、根回しなしで萩生田と決めたのでは・・・この間予算・種苗法などどんどんすすめられていく。新型コロナはもちろん警戒すべきだが、反応が尋常ではない。

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日本医師会からの新型コロナウィルスについての情報、対策まとめ

 

インフルエンザとの比較で考えると死者数が例えば去年1月だと毎日50人。コロナは収録時に全部で9人。季節性インフルエンザよりは影響が小さいが、反応がものすごい。日本だけでなく、中国、イタリアも。

この事態への反応はどういうことかを考える。

どういう心構えでコロナウィルスを、コロナウィルス現象を見るべきか。

 

(4月4日追記  4月4日現在、日本ではダイヤモンドプリセンス号のケースも含めて死者84人 。インフルエンザは2018年で3325人、自殺者は2019年20169人、交通事故2019年3215人)

ゲスト紹介 医師でヘルスリテラシーの分野で研究を進める大野智氏。

ヘルスリテラシー:体の悩み解決、健康維持するための情報入手・理解、活用に関わるリテラシー
医療健康分野での情報リテラシー

神保:ヘルスリテラシー情報リテラシーの観点から現在の状況をみるとどうか?

大野:元来は自分に必要な情報があればよいが、現在は情報氾濫、情報が襲いかかってくる状況、個々人が必要な情報を適切に入手、取捨選択ができる状況でない。

 

死ぬたびにニュース速報、日本だと収録時で9人だが、死者がでるそのたびに速報。ものすごい驚異の印象を与える。 インフルエンザ死者数は1日数十人だからその意味ではバランスが悪い。 

なぜこのような怒涛の情報になるのかを考察する。

 

大野氏:未知の情報の効果

・人間は「未知のもの」の不安恐怖をともなった情報には感情を揺さぶられやすい。

・人間は不安ベースのときは不確かなものでも情報を取りに行く(借金で首が回らない人は怪しい儲け話に乗りやすい的な傾向)

 

詳しい議論の前に新型コロナについて(2月末時点での)情報まとめ

新型コロナは過去のコロナウィルス感染症SARS MARS)と比較すると感染の広がりはすごいが、症状の重症化の観点でいうとSARS MARSが圧倒的(致死率SARS 10パーセント MARS34パーセント)。致死率は現在通常のインフルエンザより高い(2〜3パーセント)。重症化は高齢者や糖尿病などの既往症がある場合に顕著であり、健康な人間がそれほどまでに恐れるようなものではない。致死率に関しては、感染者数の分母がおそらく少なく換算されているのでもう少し低くなる可能性もある。

ではなぜそんなに騒ぐのか? 新型ということで警戒はわかるが、各国政府の動きなどなぜこうなるか? 専門家やインテリであればパニックになる必要はないと思うようなデータだが・・・

情報発信者はどうすべきか という問いも含めて

 

(4月3日追記 今思うと感染の急激な広がりや潜伏期、無発症者による感染拡大などの問題がこの時点では十分に検討されていないのは、今から思うとやや残念。いわゆるオーバーシュートによるイタリア、スペイン、アメリカなどでの感染、死者の増大がまだなかった状態で日本でも広がりは限定的だったため、しょうがないといえばしょうがないが。

 個人的に覚えているのは、3月一周目はヨーロッパはまだのんびりしていて、二周目からイタリアでの深刻化が意識されて、空気が変わった。個人的にも、イタリア、アメリカの状況をみてはじめて真剣に恐怖を感じるようになった。ヨーロッパやアメリカの対応も含めて今思うと、武漢のケースをもっと深刻に我が事として受け止めて、早めに感染拡大、オーバーシュート、医療崩壊のメカニズムを検討・対処しておく必要があったのだと思われる。)

科学的思考を歪める心理効果

ゲスト 科学的思考を歪める心理効果が、データの認知に人を向かわせない。

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1. ウィンザー効果 誰かの体験、誰かの経験の方がデータより心に響く

例:健康食品の体験談による広告が効果が大きい

例:直接褒めるより、「誰々さんが褒めてたよ」と聞く方がインパクトが大きい 

コロナウイルスの場合:上で挙げたようなデータよりも、例えば武漢の警告を発した医師のインパクトが大きくなる。データよりも、政府がごまかしているらしいといったSNSの方がむしろ信憑性があるように思ってしまう。

2. 権威への服従効果

・「あの人が言っているなら聞こう」という権威の言葉

コロナウイルスの場合:ワイドショーでの「・・・大学教授」 

番組の場合はお笑い芸人がウィンザー効果を担って、大学教授が権威のお墨付きを与える。番組全体がそれなりの信憑性をもって受け止められる。

3. バンドワゴン、同調現象   勝ち馬にのろうとする

・「9割の人が満足しています」→「ならやろう」 

・「勝ち馬に乗ろう、のり遅れるな」傾向   トイレットペーパー・・・

4. シャルバンティエ効果 しじみ200個分etc

例:「しじみ200個分の・・・」「レモン・・・個分の・・・」→ インパクトが大きい

 鉄1kgと綿1kgと聞くと鉄の方が重そう。インパクトを強める心理効果

5. フレーミング 数字設定の仕方で大きい小さいの印象が変わる。

例:タウリン1000mg配合(タウリン1g)

コロナウィルスの場合

・感染者数だけをみせるインパクト(この一ヶ月でこれだけの感染者が!) 致死率だけだとインパクト弱い。

・致死率もSARSなどとの比較ではなく、インフルエンザと比較した方がインパク

 

コロナの場合は1. 2のセットと5のフレーミングに注意して情報摂取すべし。

 

健康・医療情報の分類(コロナ議論とは別の一般的議論)

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健康や医療については様々な情報があるが、情報がどれくらい検証されたものなのかは、かなりまちまちである。信頼性の低いものから順に検討。

1. 経験談・権威者の意見 信頼性低い。比較検証がないので、個人的偏りや偶然に左右される情報。

グルコサミンが効いた 飲まなくても効いたかもしれない  比較がない。

2. 実験室 細胞で動物で効いた・・・人間に効果があるかはわからない

実際に薬になるのは10000分の1

3. 観察研究:比較群なし 過去症例のカルテなどとの比較
4. 観察研究:比較群あり 治療をやった場合、やらない場合の比較研究

 例:食生活・運動習慣のアンケートをして、5年10年追って比較するなども含む

5. (非)ランダム化比較試験:人間を対象として状況介入して行う比較研究

食物繊維と大腸癌の関係 それだけでなく、他の要素(肉など)が関係しているかもしれない。状況に介入して、食物繊維を与える群、与えない群、肉食をする群、しない群などを設定して比較する。

 

出回って効くとされている医薬品は上の5を経ている。権威者の言葉でもどのデータに基づいているかによって信頼度は変わるので注意。

いずれにせよ、どのレベルのデータなのかを注意すべき。

 

宮台:ヴェーバーの教え「AがあったらBが起こった」だけでなく「AがなかったらBはなかった」を言えるかどうかいつも考えないといけない。

 

(4月3日追記

上の情報分類は医薬品や健康食品の情報の信憑性の話なので新型コロナとは少しずれる。いずれにせよ、コロナウイルスの性格にしろ、それに対する薬やワクチンにしろ4,5のような比較実験はまだなされていない。

「専門家」が話すのも1, 3のどちらかだが、わりと1も多いのではないかと思う。3は例えば別のコロナウイルスとの比較など。人口の60パーセントがかかるまでとまらないのでは・・・なども当然、比較検証などではなく、過去のウイルスとの比較などで言っている話だろう。

ちなみに、わりと説明がはしょられていたので4, 5の違いが十分理解できていない。5は対象を無作為抽出した場合と、特定の対象群の比較もするということかと思われる。コロナ例だと、熱が出ている人間の中でPCR検査をした場合の陽性率と、無作為にPCR検査をした場合の比較をして、例えば陽性率をどのように解釈するか、変わってくるとかそういう話か・・・(?))

番組後半

とはいえ、伝えられる情報がどのレベルの情報なのかの判断をいちいちするのは億劫。テレビなどでも根拠などいちいち言わない。なので、なかなか難しいが、上の分類を少し念頭において、判断すべし。

 

厚生省のコロナ対策について

神保さん厚生省の方針について紹介:医療対応ができなくなる事態を避けるために、流行のピークを遅らせる必要があるということで感染拡大防止につとめている。

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厚生省の対策モデル。

大野氏:この対策モデルが実際重要。肺炎患者の急増を避ける必要あり。病院は他の病気の患者も多く、パンクした場合の混乱を避ける必要がある。武漢にはその問題があった。感染者数が増えるのは避けられないだろうが、緩やかな増加にするための対処が必要。

 

神保:「早く感染すると終息が早くなるという一般論」を前提にすると、感染拡大緩和によって期間が長引いてオリンピックに響くのではないかと考えると、政府は英断したのかもしれない。

残る疑問:ウイルスは夏場に弱ると考えてよいかどうかまだ必ずしもわからない。

 

(4月3日追記:上の神保さんの「早く感染すると終息が早くなるという一般論」は、ワクチンなどがない場合は、多数の集団(50パーセントとか60パーセント)に免疫ができて、爆発的な感染の広がりが起こらない状況にいたってはじめて、大流行がおさまるという話と思われる。2月末時点では、こんなに長期化、深刻化するという危機感が薄く、2週間くらいで封じ込められるという楽観が世界的にあったように思う。オリンピック云々は、その雰囲気のなかでの発言)

政府の対策はそれとして、個々人はどうすべきか

大野氏:情報の受け止め方の心理的歪みを踏まえると、人間は不安の中で認知の歪みが起こりやすい。情報を伝えることは当然重要だが、情報発信者も受容者も、人間が間違った判断をする、特に今は間違った判断をしやすいかもしれないということを認識することが大事。自分が冷静に判断できる状況にあるか一歩立ち止まって判断するのがいい。

 

ウイルスと人間の関係一般

ウイルスは宿主を必要とするので、例えば宿主が全滅したらウイルスも消える。ウイルス的には適度に宿主が残らないと増殖・残存はない。

インフルエンザ・ウイルスの動き方

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一般的な動き。豚を経由して人間への感染力をもつらしい。中国発になるのは、中国での豚飼育方法や生肉食習慣からと考えられる。

・温暖化でこれから未知のウィルスが出てくる可能性あり

 

コロナウイルスは60年前くらいに発見。風邪の一部を占める。危険なタイプのウイルスのアウトブレイクSARS, MARSと今回の3回 

 

コロナウイルスの今後の展開について

大野氏は感染症学専門ではないという前提で一般的なことをいうと

・ウイルス撲滅に人間が成功したのは天然痘くらいで、インフルエンザやコロナとは共存、競争関係を保つ他ないだろう。

・新型コロナに関してはまだ未知の要素が大きいので、不安、パニックになりがちだが、冷静になることが大事

 

雑談とまとめ

神保・宮台:人間の不安が生み出す怪物にも注意 ポン・ジュノ監督の指摘も参照

・『パラサイト』監督ポン・ジュノの、怪獣映画『グエムル』も示唆的。人間の不安が生み出す怪物のほうが怖いのではないかという監督の指摘。

戒厳令的な押さえ込みがよいのかどうか?

 

「正しい」行動への固執にも注意 「間違い」を許さない空気の問題もある。

大野:「正しく恐れ、正しい判断をしましょう」とよく言われるが・・・「正しい」に問題があるのでは。

  →「正しい」と言うと、唯一の正解があるかのように響く。あるいは、間違った行動があるように響く。

「正確か」「不正確か」を人はある程度見極められるが、間違うことは当然ある。「間違っても良い」という心のゆとりをもつほうが息苦しさから解放される。

「これが正しい、日本全体こうしよう」は、人間の生み出す怪物になりうるので注意。

 

検査のできなさ、機能不全問題

宮台:「4日目に病院に来い」を絶対視しないほうがいい。重症化した患者が増えるより、早めに検査できたほうがいい。

神保:なぜ検査ができないのか?

大野:動ける感染症対策機関がないという問題。国立感染症センターには検査体制はなかった。

神保: 陰謀的に誰かが止めているのではなく、単に機能不全の可能性ということですね。 

宮台:インフラがないので動けないという問題なのに、動けない場合は陰謀論が生まれがちというメカニズムが興味深い。

 

(4月3日追記 検査の話は、ちょっとはしょって書いているので、少し補足。

今も検査数は劇的には増えていないが、すでに2月末から、日本検査数おさえて感染者隠している説があって、それをうけて神保さんが、PCR検査が日本少ない問題について話をふる。

 大野氏の回答:国立感染症センターには検査体制がなく、医療機関まかせになるという問題が、検査数の増えなさにつながっている。

 現行の法や医療体制では検査が増やせないというのが実情(4月現在もあまり進んでいない)。だが、動けない場合は、なんで動かないんだ、オリンピックに響かないように何か隠している違いないというような陰謀論が生まれてしまうという話。)

ドイツニュース見出し 2月15日から2月27日までまとめ

コロナ関連報道がどうなっているか気になって、ドイチェ・ヴェレのニュースを2週間弱チェック。ニュースは月から土まで毎日7項目前後。

コロナウィルスは先週まではトップにくることが多かったが、中国での感染拡大が落ち着いて以降はやや下火に。ドイツないでは発見された感染者はこれまで30人弱。イタリア経由が多い模様。

2月26日に感染経緯が不明な患者が出ているので、もし拡大した場合は報道も加熱するかも。

日本については、この15日〜27日の間では19日にダイヤモンド・プリンセス号への言及あり。

 

Deutsche Welle ニュース項目 2020年2月15日(土)

・コロナ・ウィルスがアフリカに達する。

ミュンヒェン安全保障で、大国が議論の応酬 

・イドリブ(シリア)の状況についてEU諸国が遺憾の意を示す

アメリカ合衆国EUの飛行機への関税をあげる

・2年前のパークランド高校大量殺人、被害者追悼

・ ハイチの孤児院火災、少なくとも15人の子供が死亡

・サッカー・マンチェスター、2年間ヨーロッパ大会への参加禁止

 

Deutsche Welle ニュース項目 2020年2月17日(月)

・コロナ・ウィルスの感染中国で7万人超え、死亡者は1800人超える。

・トランプ、ロシアにシリア戦争での「サイド・チェンジ」を要求

アメリカ司法長官バーに退任要求だされる

EU委員会、ギリシアの難民収容所のための莫大な援助を提案

・内戦中のイエメンで、捕虜交換計画。

・化学産業大手は、損害補償を行わねばならない

・インドで国連種の保存会議開催

・サッカー・ブンデス・リーガ バイエルンミュンヒェンが再び一位

 

Deutsche Welle ニュース項目 2020年2月18日(火)

・中国でより多くのコロナ感染症

ウイグル族の状況、引き続き危機的。

・アマゾンの社長、数十億ユーロを環境保護に出資

・医師たちが、アサンジュの拘束を拷問だと非難

テューリンゲン州首相にリーバークネヒト(CDU)が推される

アルバニア地震後の再建に10億ユーロ以上拠出される

・アサドがトルコの警告に逆らう

 

Deutsche Welle ニュース項目 2020年2月19日(水)

・コロナウィルスによる死者、すでに2000人以上

日本では、「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客は、二週間の隔離後に船を去ることが許されている。およそ3000人の人間の下船に、少なくとも三日かかると日本政府は伝えた。

・シリアはこれまでで最悪の難民危機に直面している

リビア政府(シラージュ政権)、休戦に向けたジュネーヴでの対話への参加中止

アメリカ合衆国、中国の国家メディアへの圧力強める

・ドイツ連邦政府、基礎保証年金を決議

・国連子供調査:子供の繁栄指数でノルウェーがトップ  (2位韓国、ドイツ14位) 言及されなかったが日本は7位

・サッカーチャンピオンリーグ:ドルトムントがパリ・サン・ジェルマンに勝利

 

Deutsche Welle ニュース項目 2020年2月20日(木)

ヘッセン州のハーナウでの暴力行為をうけて連邦検察総長が調査

アメリカの駐ドイツ大使グレネルがシークレットサービスの調整役に

・米民主党の初のテレビ討論、マイケル・ブルームバーグ登壇

国際通貨基金、アルゼンチンのIMFへの負債、民間債権者に損失負担を求める

・トランプがアサンジュに恩赦を提案した、とメディアが伝える

エアバス・軍備部門、売上低迷のため、2300人人員削減予定

ヴェストファーレン平和賞、アレクスィス・ツィプラスとゾラン・ザエフに

 

Deutsche Welle ニュース項目 2020年2月21日(金)

・ハーナウでの人種差別的テロをうけて、連邦中で無言のデモ集会

・コロナウィルス:中国での新たな感染激減

・イランでの議会選挙、最終結果は三日後

アイルランド首相ヴァラトカーが選挙敗北をうけて辞意表明

・裁判:テスラはブランデンブルクの工場向けの森林開墾が許可される

・フランクフルト、レーヴァークーゼンヴォルフスブルクが準々決勝を視野にいれる

 

Deutsche Welle ニュース項目 2020年2月22日(土)

・テューリンゲンのキリスト教民主同盟は、ラーメロウ(左翼党)を首相に選出予定

OECDはデジタル課税でのナショナルな独歩に警告

・ドイツとフランス、イスラエルの植民計画に反対

・イタリアでコロナウィルスによる初の死者

 

Deutsche Welle ニュース項目 2020年2月24日(月)

イスラエル軍パレスチナイスラム・ジハード運動(イスラム聖戦機構)に攻撃

・ハイチで警官デモが軍司令部を攻撃。(死者一人)

・西アフリカのトーゴで大統領ニャシンベが選挙で勝利

ハンブルグ州議会選、「赤ー緑」(社民党緑の党)が明白な勝利。

オーストリア、イタリアからの旅客列車を止める。

・暴力的プロテストがチリの音楽祭開幕を妨害。チリでは10月から激しいデモが続く。

・サハラの砂嵐のため空港閉鎖

 

Deutsche Welle ニュース項目 2020年2月25日(火)

・ラシェトとメルツはキリスト教民主同盟の党首に立候補を望む

・「北京(政府)」に批判的な出版業者に禁固10年

・フォルクマルゼン(テロのあった都市)の警察捜査は、故意の殺人という前提から始まる。

・ケルンの旅行者にコロナ・ウィルスの疑い

コービー・ブライアントとお別れ

・サッカーニュース

 

Deutsche Welle ニュース項目 2020年2月26日(水)

・コロナウィルス感染、ノルトライン・ヴェストファレン州とバーデン・ヴュルテンベルクにて。

憲法裁判所、死の幇助について禁止を決定

・ドイツ、ケニアの職業教育を援助する

欧州人権裁判所、2009年のアフガニスタン、クンドゥス州空爆裁判。

バーニー・サンダースに集中砲火

・サッカーチャンピオンリーグ:バイエルンミュンヒェンが準々決勝を狙う。

 

 

Deutsche Welle ニュース項目 2020年2月27日(木)

・トランプは、コロナウィルスのリスクはきわめて低いとみている。

アメリカ合衆国での右翼テロリズムに打撃

イスラエル大使、ドイツの民主主義に危険を見る

外務大臣マースはリビア紛争での武器供給国を威嚇

チュニジアで新政権

ギリシア諸島での抗議運動における暴力

Videonews マル激第985回 なぜ東京都心の真上を大型旅客機が飛ぶことになったか知っていますか? ゲスト稲垣久和氏(東京基督教大学特別教授) 2020年2月22日 視聴メモ

マル激トークオン・ディマンド 第985回 

なぜ東京都心の真上を大型旅客機が飛ぶことになったか知っていますか? 

ゲスト:稲垣久和(哲学者)

 

前半 羽田の新ルート問題

・都心を急角度で着陸する2ルートが2020年3月29日から運用開始。

・騒音、物質落下(氷や部品)、着陸時の危険性などの問題

・決定プロセスの問題 住民が実質参加していない 決定ありきの審議会と説明会

 

後半 

・民主主義の決定プロセス

宮台、ピティエ 他の人々への共感がない決定プロセスの不備

稲垣、直接民主主義的な熟議のプロセスが必要だった。

などなど

 

問題の根は、いつもの問題。政府の意図ありきの決定。住民の参加が形式的で結論ありき。この問題をメディアが報じていない・・・。

ゲストの稲垣氏は民主主義の正論を唱えてぶれない。このくらいの世代の人はダメな人も多いけど、立派な人も多いことも再確認。

 

羽田問題自体は前編。全然知らなかった。 

後半は民主主義論。わりといつもの話だが、宮台がもう言わなくなった熟議論などの正論が聞ける。

 

以下内容まとめ

  • 前編 
    • 1. 最初の話題
      • 1 コロナ・ウィルス問題
      • 2 コロナ・ウィルス問題 一般人のできること
      • 3 末期状態の政権 報道できていない
    • 2. 羽田離発着が都心上空を飛ぶようになった 経緯と問題点
      • 1 議論のはじめ
      • 2. 新ルートとは
      • 3. 技術的諸問題と政治的問題(横田空域問題)
      • 4. 稲垣氏から問題提起
      • 5. 羽田集中がどう決まったか? 決定プロセスの問題点
  • 後編
    • 1 国交省のいう新ルートの目的、メリットの検討、背後の意図は?
      • 予想される意図
    • 2 成田回顧
    • 3 品川区住民投票直接請求運動
    • 4 まとめ
    • 感想

 

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Videonews マル激第972回 従来の家族観を変えなければ児童虐待はなくならない ゲスト信太さよ子(公認心理士、臨床心理士) 2019年11月23日 視聴メモ

視聴メモ

 

ゲストは50年来この問題を扱ってきたベテラン公認心理士、臨床心理士 しゃべりがざっくばらん。今日は神保氏ではなく迫田氏が司会。混ぜ返し方が神保さんとは違っているが、素朴な感想を代弁してくれるので、話がいい感じに展開してよい。

 

ゲストの信太氏は、非常に素直に話す人で話がわかりやすい。体験ベースの話になりがちなのでどれくらい「全体」を見渡した議論かはときどき疑問だが、話題はすべて具体的で面白い。宮台とは話が合うようで、別の角度から補いあっていいバランス。宮台の「言葉の自動機械」論がいつもより詳しくわかりやすく展開される。グレゴリー・ベイトソンの話など面白い。言葉の外でつながれないということは、つながれない場合暴力に急転する。

 

番組は、この20年ほどの虐待事件の質の変化の話から。虐待が短絡的になってきている。また昔は母親対策だったが、最近は父親が仕事がなくて、妻が働きに出る間の子供との接触機会が増えている。父親への育児教育がなくての虐待の増加の可能性(目黒区5歳児虐待死の例に象徴される)。コントロールしないと落ち着かない人間がコントロールできる場が家庭の自分より弱い人たちになった場合の悲惨について考えさせる会になっていて面白い。

 

警察がDVに乗り出すようになった転機の話が面白い。厚生省と内閣府との縦割り行政からくる、虐待、DVの扱いの不一致の問題なども、興味深い。

 

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Videonews マル激第971回 ゲスト松岡亮二 2019年11月16日 視聴メモ

とても面白い回だったのでメモ。

神保・宮台へのゲストからの質問もスリリングで、二人からもいつもと少し違う話がきける。

 

番組の導入文

萩生田光一文部科学相が10月24日、2020年度から始まる大学入学共通テストで活用される英語の民間試験について、テレビ番組で「(英語民間試験は)自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえば」と発言したことが、大きな波紋を呼んだ。その後、2020年度からの実施が予定されていた英語の民間試験の導入の見送りが発表されるなど、今も混乱が続いている。

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ゲストは明晰かつ注意深い物言いをして大変話が聞きやすい。その分神保さんと宮台の脱線が目立つ。基本的にはブルデュー文化資本の話と一緒だが、データで示す。学者としての発言に禁欲しているが、人の良さがにじみ出ているように思う。

 

 

内容概観

・教育格差が最近の現象というイメージがあるが、実は昔からある。

・家庭の社会経済的地位SESと教育格差の関係が大きい。

 SES (Socio-Economics Status) のスコア化

 所得と両親の学歴、蔵書、職業威信(専門職か否か)などで数値化

親の教育があると、意図的養育(習い事に限らず、だめな理由を言葉で説明なども含む)する傾向がある→ 学校教育と親和的な子供が育つ。小学校進学時での格差。

・小学校で、入学時の格差はあまり埋まらない。学校差、地域差あり。

・小学校:日本では学校教育の規格化が過剰。かつ行政からの教育への支出は小さい→両親の支出による教育が大きくものをいう。

・中学、高校でこの格差が維持される。

・教育を支援する姿勢を地域、学校、親がもっているか否かが、教育機会の差になる。

 

松岡氏の意見(学問的主張とは別に個人的意見)も真っ当

・生まれの差によって子供に与えられる機会が異なる現状を変えたほうがいい。

 子供が地域・教育格差によって低いセルフイメージをもち、自分の可能性を低く見積もってしまうのは、悲しい。

・「恵まれた人」に関しては、恵まれている理由を理解すると、違う人たちに対しても優しくできるのではないか。

少子化なのだから、平等に機会を与えて、開花させたほうが社会的にも合理的。

・「個人の能力を最大限に活かすために教育を与えましょう」しか言わないと、教育格差が単に開いていくだけなので、上の主張は格差拡大になるということを自覚する必要がある。格差を縮小するためには、affirmative action的に何かしないといけない。

・具体的には幼児教育段階で、養育者(親)への支援、援助をする必要。実際にやろうとすると難しいが。

・対GDP比の教育費の公的支出がOECD諸国ではかなり低いので、教育学・社会学的なデータをもっと収集し、財務省に支出を促すようなことを文科省には必要。

・教育にまつわる議論においては「べき論」に陶酔する論者が多いので、そこは注意してデータを見る。

・「まずわたしの本を買って読んでください(笑)」。

教育格差 (ちくま新書)

教育格差 (ちくま新書)

 

 この本が一般的な本としては初著作らしい。

 

面白かったくだり

アメリカでは文化的格差が肌の色で大体わかる/日本では文化的格差があるが、人種的差異として現れないので、格差なしに皆包摂されているように見える。

 ↓

宮台真司社会学者ジョック・ヤングの「過剰(擬似)包摂」論 

実質的には包摂されていないのに、包摂されているようにみえる。

例 1スタバの利用者 貧富の差なく誰でも使えるが、実際は格差がある。

 

後期近代の眩暈 ―排除から過剰包摂へ― 新装版

後期近代の眩暈 ―排除から過剰包摂へ― 新装版

 

 

 

 

最後にした神保さんと宮台への質問が新鮮。

・20年前からビデオニュースをやってきて、社会が変わってきたかというと、多分違うと思う。お二人も満足されていないと思うが、そういうときにどのような感想をもつか? 若い世代は自分のように「専門」領域で査読論文を書くことからしか始められないが、それもふまえて若い世代に対してアドバイスを。現在から始めるとしたら、どうするか?

・言い換えると今の若者が宮台や神保さんのようなことを目指すのは難しいと思うが、どういう道がありうるとお考えか?

宮台のストレートな反省(昔は観客)を引き出したわりと珍しい質問。

神保さんは、今も昔も変わらず、この道を貫く。

宮台 「下駄」を履いていられる恵まれた人々に倫理的教育をすることが今は大事だと思う。

 

クイズ形式で概観部分の紹介

Q1 親の学歴により習い事や教育サービスなどの利用格差が顕著になるのは

a 小学校就学以前 b 小学校低学年 c 小学校中学年 

答えa

Q2 公立の小学校同士の間で学力格差が確認できるのは・・・(地域差がある)

a 1年生から  b 4年生から c 6年生から                        

答えa

Q3 家庭の文化資源(蔵書数)による学力格差は小6から中3までの間学年が上がるにつれ・・・

a 拡大する b変わらない c縮小する 

答えb (小6頃までについている差は、それ以降あまり変わらない)

Q4 戦後、教育格差(親の学歴と子の学歴の関連の強弱)は2000年頃から大きく

a拡大した b変わらない c縮小した

答えb 昔からそうだった

Q5 相対的貧困にある子供の数は1980年代と比べると2010年代に大きく・・・

a増えた b変わっていない c減った

答えb変わっていない (絶対数は変わっていないが、率が増えている)

Q6 授業以外でまったく学習をしない15歳の割合が最も高い国は

a アメリカ合衆国 b フィンランド c 日本

答えc日本

Q7 日本の教育格差は国際(OECD)平均と比べて

a大きい b 変わらない c小さい

答えb